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北海道の特殊伐採業者「TREESERVICE 空師.ngo」(ツリーサービス ソラシンゴ)です。主に10m以上の高木・大木の伐採をお引き受けしています。
外見からはわからなくても、切ってみると木の中に空洞ができていることがあります。大木の場合、空洞が広がると倒伏しやすくなり、甚大な被害をもたらす恐れも。できれば早めに気づいて対処したいところです。
今回は空洞ができる原因や見分けるコツについて、弊社で伐採した写真を交えて解説します。
裂傷から空洞ができていた木
弊社でも空洞のある木にあたることがよくありますが、その状況はさまざまです。
こちらのトドマツは非常に大きく太さもある木でしたが、外から見て分かる大きな裂傷がありました。
倒したところ。
この裂け目は内側まで深くえぐれていて、ボロボロの状態でした。
「まるでトドの肋骨のようだ」とは当日の地上班高橋の感想。
トドマツは冬季間に凍結による裂傷が生じやすい木として知られていますが、この傷はあまりにも大きい。小さな裂傷から腐食が生じて広がったのでしょう。
それでもこの木は大きく枝葉を伸ばして茂っていました。
空洞があっても木が元気な理由とは
大きな穴が開いていても、木自体は元気に生きていることがほとんどです。葉を茂らせ、花や実をたくさんつけていたりするので、全くわからないこともあります。
春の花が咲き乱れる現場。空師が伐採中のこの梅の木も花を付けているのですが、その内部は・・・
・・・芯部が腐っていました。
写真では黒っぽく見えますが、モロモロに崩れてきている状態。
アリがたくさん出てきました。
こんな状態なのに、枯れずに花が咲いていたのはなぜなのでしょう?
それは、養分や水分を吸い上げて木全体に運ぶ機能は木の表皮のすぐ下の層で行われているからです。その部分さえ健康であれば、木の中心部から腐ってきていても木は生きていられるのです。
腐食部分が広がらないよう、木は自分で内側に防御壁を作ることもしますので、すぐに木が枯れるということはありません。
そのため、空洞ができ始めてからも何年も生き生きした状態を保っている木が多いというわけです。
ただ、内側が空洞になるとその分、強風などで木が折れる可能性は高くなります。
計算上は、空洞の面積が木の50%を超えると木の胴から折れてしまうことに。
後述しますが、よく観察していると空洞化のサインを見分けることができます。
木材腐朽菌が空洞を作る
ところで木の内部を腐らせるのは、木材腐朽菌というキノコに近い菌類です。褐色腐朽菌、白色腐朽菌、軟腐朽菌といった種類があります。キノコのように菌糸を出して増殖しつつ、木の内側をスポンジ状にしてしまいます。
木がこの腐朽菌に感染してしまうのは、なんらかの形で傷ついたときです。
嵐で枝が折れたり、樹皮が損傷してしまったときや、根が傷ついたとき、また剪定の際によくない伐り方をすることなども原因になります。
そして腐朽菌の好む環境(温度、湿度、酸素)が整ったときに菌の活動が大きくなり、徐々に穴は広がっていきます。
また、腐朽菌に対する強さは樹種によっても違います。
比較的弱く芯から腐りやすいとされる樹種にはトドマツ、エゾマツ、白樺、ブナ、ドロノキなどがあります。
逆に耐久性が強いのはヒノキやヒバ、ケヤキ、ニセアカシヤなどです。
参考資料:福井県庁 工業技術センター資料「木材の特性」 ほか
ちなみに・・・、
空師へのご依頼で全伐採ではなく芯止めで残して欲しいとご希望される場合も多いのですが、幹を「ぶつ切り」するのは木にとっては大きな負担になります。
樹齢や樹種、生育環境などのさまざまな要因でせっかく残した部分も枯れ上がったり、伐った箇所からこの腐朽菌が入り込む可能性があるのです。
そのリスクは見積もりの際にお話しいたしますが、どうぞご了承の上、ご依頼いただければと思います。
空洞のある木を見分けるコツ
空洞のある木は早めに対処が必要ですが、見分ける方法はあるのでしょうか。
よく観察していると変化に気づくことができます。わかりやすいのは以下の状況です。
うろができている
・・・うろというのは木にできる穴のことです。鳥や小動物のすみかになっていることがあります。うろがあっても内部まで腐れが進行しているとは限りませんが、樹に元気がなくなってきたなら危険信号です。枝葉が枯れ気味、色合いが前年と違う、など変わった様子がないか観察してみてください。
アリが大量に出入りしている
・・・アリが菌糸を餌にするために出入りしていたり、内部に巣を作っている可能性があります。このような場合は空洞がかなり広がっていると思われます。ときにはハチが巣を作ることもあります。
木からキノコが生えている
・・・末期症状です。腐食・分解された部分が大きくなりキノコなど他の菌類が繁殖しやすい状況になっています。倒木の危険性が高まります。
そのほか、幹に不自然な膨らみがある、叩くと音が高い、などいろいろな判断材料がありますが、専門の器具を扱える樹木医や経験のある庭師さんでなければ気づけない症状もあります。
参考資料:日本緑化センター資料「腐朽診断の現状と課題」 ほか
こちらの写真は、アリがたくさんついてどうにもならないということで伐採を依頼された木でした。木は枝ぶりのバランスもよく健康な状態に見えましたが、伐ってみると内部に穴があり、そこにアリの巣がありました。
アリは腐食部分を好む
クロアリ、シロアリなど種類に関わらず、アリは通常は生きている水分量の多い木をかじることはありません。あくまでも腐食菌に侵された部分に入り込み、菌糸やもろくなった木を食べるということのようです。
いずれにしても、アリが木に入っていく様子を見つけたら要注意ということになりますね。
木を食べるテッポウムシ
木に穴をあける害虫としてはカミキリムシの幼虫(通称テッポウムシ)がいます。
大きな木であればカミキリムシが食害したことによって木が弱ることは少ないですが、その傷から腐食菌が入り込むことによって空洞化が始まる場合も考えられます。
木の根元におがくずのようなものがあったり、近くに成虫がいる場合は要注意です。
樹木医に治療を頼む方法もある
もしも空洞ができてしまっても大事にしたい木の場合、お手入れ次第では伐採せずにすむことがあります。
これは樹木医の分野になりますが、支柱を立てて支えたり、根の周りの整備や殺菌剤塗布などによって長生きさせることは可能です。歴史ある古木をそのようなお世話や治療によって元気にすることも行われています。
大切な木の場合は、庭師さんや樹木医のいる造園屋さんなどに問い合わせてみてください。
空洞がある木まとめ
木の内部に空洞ができると、倒伏の危険性が高まります。
見た目だけでは判断できないことも多いですので、強風被害などが気になる場合は早い段階での伐採も選択肢に入れてみてくださいね。
10m以上の高木の伐採は弊社の空師がお手伝いします。
ご注意:
木の空洞や枯れが大きく、木に登るだけでも折れる可能性がある場合は、空師は登って伐採作業をすることができません。
現場を見せていただき他の処理方法を探りますが、やむを得ずご依頼をお断りする場合もあります。木の状態が悪くなる前に、ぜひお早めにご相談を!
弊社では、10m以上に育った大きな木をメインに伐採・枝打ちや芯止めを承っています。このブログではこれまで行った様々な伐採事例を紹介中ですので、よろしければご覧くださいね。
お問い合わせ・お見積り依頼はお気軽にどうぞ。道内どこでもお見積りできます。
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