北海道の特殊伐採チーム「TREESERVICE空師.ngo(ツリーサービス ソラシンゴ)」です。主に10m以上の高木・大木の伐採をお引き受けしています。
秋冬は落葉樹であれば葉がないので、枝ぶりを見極めやすいという点では作業が楽です。
木にとっても秋冬の休眠期に切られる方がダメージが少ないのは確か。
ただし、ここは北海道。
冬の特殊伐採は空師にとっては過酷な作業になります。
今回は北海道ならではの冬の苦労をご紹介しますね。
冬の作業は寒さとの闘い
作業中の空師は、風にさらされている時間が長いんです。クライミングで筋力を使う瞬間もありますが、待機時間も長くあります。
樹上で切る順番を考えているときなどは集中しているので、動かなくてもあまり寒さを感じないですが、下に下ろした枝の処理が済むまで次の作業に入れないときや、車や通行人が通り過ぎるまで待つとか、線路脇支障木の伐採時などは列車の通過時間に合わせてしばらく待っていたりなどなど、ひたすら待つ時間がきつい・・・!
樹上は障害物がないため、風の冷たさをもろに感じます。
先日ご依頼をいただいて作業した恵庭市の現場では、3日間の作業日のうち2日が極寒でした。
吹雪の中の作業もあり、体中にカイロを貼っていたけれど樹上では風にあおられて体温がどんどん奪われる状況でした。
この日の記録がこちら。
【空師三浦の作業日報より】
年が明けて初めての作業日。朝から快晴で今日はベストコンディションと思ったが恵庭に入ると積雪があり風も強く木上でかなり振られる。
注意したのは切り落とす枝がこずえの先から落下しないようにすること。
地面に跳ね返った反動で物置を破損させる恐れがあるので、倒れる角度が地面と水平に落ちるように切り方を工夫した。
気温もマイナス9度が最低まで下がった。 吹きさらしの地上15メートルほどのところなので強風で体温が奪われる。 午前中は靴下用のカイロをつま先に1つ入れていたが寒くて耐えられなかったので午後からかかとにも1つ貼った。
冬の服装
空師三浦の冬の服装は、下はヒートテックにチェーンソーパンツ、さらにカッパズボンの重ね履き。それから靴下用のホッカイロも愛用中。 上はヒートテックにフリースに、ダウンにカッパを重ねます。
木くずをサラサラ払い落とせる素材で中は温かく、しかし頑丈ですぐ破れたりしない、万が一汗をかいても冷えない蒸れない素材で、と理想を言うときりがないのですが・・・。
<空師・三浦のコメント>
寒いとトイレが近くなるのも悩み。一度下に降りてからまた登るとなるとかなりの時間ロスになります。
といってもトイレを我慢していると集中力がなくなってしまうから、結局は降りるしかないんですけどね。
冬ならではの美しい景色が見られることも
けれど、冬ならではの素晴らしい景色が見られることもあります。
この恵庭の現場では「樹氷」を見ることができました。
ただ上に雪が載るだけの積雪、コブのようにくっつく着雪とは違って、枝全体が真っ白な霜に覆われている様子は素晴らしかった!
まるで満開の桜のようです。
これから切ってしまう楡の大木が最後に華を見せてくれました。
この木は何股かに分かれて非常に大きくなっていました。ご近所でも目立つ場所にあったので、「この木は切らないの」と造園屋さんにも言われていたそう。
しかし重機を入れて30万、40万もかけてなぎ倒すのはちょっと気が乗らなかったようです。
今回は全伐の予定だったのですが作業の後半で依頼主様のご要望があり、枝はすべて払ったものの幹はある程度の長さで芯止めすることに。
<空師三浦のコメント>
やはりこれだけ存在感のある木ですからね、お気持ちは良くわかります。
迷っておられるときはぜひ早めにお伝えくださいね。
できるだけ対応したいと思っています。
おまけ:
楡の木伐採のお宅のワンちゃん(女の子)と戯れる三浦。
いつもこの木の下につながれているようで、作業中は別の場所に移動してもらったのですが、ずっと何か言ってました。
「あたしの木になにするのよ!」って言ってたのかもしれません。大丈夫だよ、全部は伐らずに残したからね。
冬はプルージックがきかない?!
冬の苦労話に戻ります。
特殊伐採の際に樹上で自分を安全に移動させる自己確保に使うのは、「プルージック」と呼ばれるシステムで、ロープの摩擦力を利用しています。
しかしロープが濡れたりするとスムーズに動かなくなるんです。
特に気温が低いと、ロープが凍ることもあるのでなおさら。
<空師三浦のコメント>
ちょっといい道具でロープのたるみがすぐ取れる「メカニカルプルージック」というのがあるんですが、それに変えるともしかして少しはいいのかもしれません。
といっても雪でロープが濡れることには変わりないのですけどね。
新しい道具を使うのにはその道具の特性を理解した上で相性を確かめなくてはいけないですし、そのための時間も必要なのでなかなか簡単に導入というわけにいかず、また今年も冬になってから「あー・・・。」と思っています。
ちょうどこのプルージック問題を記録していた作業日報がこちら。
1月の札幌の現場でした。
【空師三浦の作業日報より】
作業初日 昨晩から降り続いた雪で路面は真っ白。 現場に向かう途中 高速で4件も事故車両を見た。
朗らかなご主人が出迎えてくれた。
15年ほど前に一度枝打ちを行ったがその時は大きな機械を入れての作業だったとのこと。 今回 当社の見積もりはその3分の2位だったと喜んで下さった。
午前中にイタヤカエデのうち一番建物に近い小さな木の枝打ちから始める。 木肌がツルツルしているうえに雪で濡れているのでスパイクが滑った。
この時期のわりに気温は暖かい。 雪が溶けてロープが濡れるとプルージックが滑ったりしまったり。もう少し寒い方が働きやすい。
午後から天候が悪化して猛吹雪となる。 二本目の枝打ちに移るが電線も近い上に、低い庭木がたくさんはえているため伐木を地面に下ろすのに苦労する。
冬の現場の臨場感、伝わるでしょうか。
寒さだけでなく、中途半端に融けて木肌が濡れていることによっての作業効率の悪さにも困りますね。 あと1メートル先の枝先に行くのにすごい時間がかかることもあります。
こちらの現場は3日かけて行いました。
次の日は快晴となり、作業日和に。
【空師三浦の作業日報より】
昨日と打って変わっての晴天
穏やかな日となった
天気一つで進み方が全然違うのに驚く
動きも早いし判断も早くなる
青空の下で働けるのは本当に気持ちいい
こんな日は木から降りてきたくなくなる
まるで詩のような・・・空師三浦の気分もずいぶん良かったようです。
北海道の冬は雪の後に晴れると空気が澄みわたります。
もちろん快晴の朝は放射冷却現象によって気温がかなり下がるのですが、清々しいです。
そんな冬ならではの空気を樹上で感じられるのは、空師の特権かもしれませんね。
冬の苦労まとめ
北海道の冬に行う特殊伐採作業は過酷。
寒さ、吹雪、着雪などの障害があります。
しかし冬の北海道ならではの素敵な景色に出会うこともあり、そんなときは自然の美しさを堪能できる仕事でもあります。
季節問わず、ご依頼をお待ちしております。
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弊社では、10m以上に育った大きな木をメインに伐採・枝打ちや芯止めを承っています。このブログではこれまで行った様々な伐採事例を紹介中ですので、合わせて参考にしていただけると幸いです。
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