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地上班のしごと|グラウンドワーカーに必要なスキルとは?(インタビュー)

更新日:2022年2月2日



ご覧頂きありがとうございます。

北海道の特殊伐採業者「TREESERVICE 空師.ngo」(ツリーサービス ソラシンゴ)です。主に10m以上の高木・大木の伐採をお引き受けしています。



このブログでは木に登って伐採する空師の仕事をご紹介していますが、もちろん空師1人では作業が進みません。

毎回の現場には、木に登る空師と地上班数名のチームでお伺いしています。


今回は、空師と息を合わせて作業する地上班について詳しくご紹介したいと思います。


地上班の仕事内容とは


地上班は空師をサポートし安全に作業を進めるために欠かせない存在です。

特殊伐採の現場では、空師を「クライマー」、地上班を「グラウンドワーカー」と呼んだりもします。


伐った木を降ろすときに、コントロールラインと呼ぶロープを操作して方向を決めたり、ポーターラップという器具をつないで枝の重さや速度をコントロールするのは地上班。


次々落とされる枝や幹を小さく切り、整理するのも地上班。


また依頼者さまが作業の様子を見に来られるときに安全を確保したり、作業内容の説明をしたりなど細かな対応をするのも地上班の大事な仕事です。


地上班のおかげで狭い現場内でもスムーズに大木伐採が進められていきます。


ちなみにこのブログに掲載する写真も毎回地上班が撮影しているもの。

(web担当より:リアルな現場の様子を記事にできるのも、地上班の皆さんのお陰です。

たくさんの写真とわかりやすく書いてくれた日誌を元にまとめています。)


空師と地上班の信頼関係が重要

しかし地上班の誘導のタイミングがずれると、反動で樹上の空師が大けがをする可能性もあります。

また地上班自身も絡んだり巻き込まれる危険があります。


そんな危険を避けるため、空師と地上班は「あうんの呼吸」で動くことが求められ、信頼関係が欠かせません。


空師と地上班のコミュニケーションのとりかた



そもそも樹上の空師の動きや考えていることが地上班に伝わらないとうまくいきませんね。

コミュニケーションの取り方について、空師の三浦に話してもらいました。


<クライマー三浦にインタビュー>

Q: 木の上と地上とでどうやってコミュニケーションを取っていますか?

なにか合図とか決めているのですか?


三浦:僕は生まれ持ったでかい声に恵まれたので、こちらから声をかけるにはあまり苦労しないんですが、木の上では地上班の声を聞き取るのがやっぱり難しいですね。


だから作業開始前の打ち合わせはとても重要です。

まず作業の流れや予想できる危険を共有し、その上で地上班に動きを予測してもらいながら作業を進めます。


あとはできるだけ地上班から僕の位置をわかりやすくするために、ショッキングオレンジの服を身につけるようにしています。

この色は緑の中で最も目立つので、レスキューやハンティングの作業着にも採用されていますね。


太い枝や幹を伐るときに、受け口を作るときと追い口を作るときのどちらも合図をするとか、樹上でセッティングを変えるときは器具を落としてしまう可能性もあるので、退避するように合図する、などの大まかなルールは決めています。


最近は作業中に打ち合わせをするときは無線機を使うことにしたので、細かいニュアンスなども伝えやすくなりました。


グラウンドワーカーのみんなに感謝しています



Q: グラウンドワーカーとの信頼関係は作業にどんな影響がありますか?


三浦:僕がいつも安全に作業できるのは、熟練したグラウンドワーカーがいてくれるからですね。空師1人じゃ仕事になりません。


それに効率や作業スピードもグラウンドワーカーとの相性次第でずいぶん変わってきます。

かなり大きく伐っても対応してくれることが分かっていれば、僕も安心して一回に伐り落とす量の判断ができるからです。


実は僕自身はクライマー専属で、地上班を受け持ったことは1度もないんですよ。

いろいろ上から指示を出していますが、それに合わせて実際にサポートしてくれるのは地上班です。

衝撃を減らしたり、落下スピードを調整するなど、重要なサポートをしてくれる地上班のみんなにはほんとに感謝しています。



地上班の目線で話を聞いてみた

現在、弊社で地上班の固定メンバーとして動いているのは、「メンバー紹介」のページにも登場している伊藤と高橋です。

この二人に地上班として普段心がけていることについて話を聞いてみました。


地上班には先を読む力が必要




地上班は樹上の空師の動きに合わせて、いま自分がどう動くべきか素早い状況判断ができなくてはなりません。

何かコツはあるのでしょうか?


<グラウンドワーカー伊藤にインタビュー>

元料理人でもある伊藤は、北海道へ来てから釣りや自然を楽しむドライブにはまり、この伐採の仕事もとても気に入っているよう。

この仕事を始めて、木の種類や特性を学んで木に対する愛着がどんどん湧いているそうですよ。


Q: 伊藤さんは恵まれた体格と勘の良さであっという間に現場に馴染みましたよね。

複数の作業を同時にこなす料理の現場で培った能力が、この仕事にもしっかり生きているのでは?


伊藤:そうかもしれませんね。

まだまだ勉強中ではあるんですが、現場では先を読みながら仕事を効率よく行なうように心がけています。

作業の流れに合わせて、できるだけ必要な道具などはあらかじめ近くに用意するようにしています。手元にあれば時間ロスも減らせますし、気持ちの余裕をもって作業ができますよね。


また、地上班は次々落とされる木を整理したり刻んだりしなくてはいけないですが、それに夢中になっていると上のサポートがおろそかになってしまいます。

だから常に上の作業を優先させるよう意識していますね。上の動きが止まってしまうと全体の作業自体が遅れてしまいますからね。


料理の現場では、完成をしっかりイメージして、そこから逆算して時間配分をし、自分のやるべきこと、人にまかせることの見きわめや、チームで動く組織づくりの方法を学びました。

伐採の仕事でも、目の前の作業だけでなく、全体の動きを意識して作業配分をすることが欠かせません。

一見すると全く畑違いの職種ですが、料理の世界で学んだことを役立てられるのは嬉しいですね。


地上班は木への愛情も大切



毎回大量の枝葉を伐り、降ろし、片付け、運び・・・。

雨や風、暑さや寒さなど天候に左右される仕事でもあります。

自然の中で作業することが苦にならない人でなければ、この仕事は続けられません。

熱意をキープできるのはなぜ?


<グラウンドワーカー高橋にインタビュー>

子どもの頃は転勤族の親について関東、北陸、東北、北海道に住んだ経験を持つ高橋。


Q: 小さい頃から木に対しての関心を強く持っていて、登ってみたり、ロープを巻き付けて秘密基地ごっこのような遊びを楽しんでいたそうですね。

その頃と今とでは、木に対する思いに変化はありますか?


高橋:林間キャンプに行くことが多かったので、森や林はもともとかなり好きですね。


小さい頃は、どの木がどんな特徴をもって、何に適しているかなんて考えてもいなかったですが、木のぬくもりや面白さなど、子供ながらに感じ取る事柄も多かったと思います。


今は仕事として木に深く携わり、様々な状況に対応して日々スキルアップしていけるのが面白いですね。


例えば、木の種類によって同じサイズに伐っても重さが驚くほど異なるんですよ。

重さに応じてポーターラップの巻き数を決めるんですが、クライマーからの情報と、目視での確認、あとは樹種や水分量などいろいろな条件が関係します。


だから特に初回コントロールには細心の注意をして臨んでいます。クライマーに怪我をさせないように、かなり責任がありますね。

地上班としての腕の見せ所でもあるので、やりがいを感じています。


まとめ

今回は、空師と息を合わせて働く地上班(グラウンドワーカー)についてご紹介しました。


グラウンドワーカーには、クライマーとの信頼関係、密なコミュニケーション、先を読む力が求められます。それに自然や木への愛情も関係する仕事です。


特殊伐採作業の安全確保と効率アップには、熟練したグラウンドワーカーが必要なのです。


さらに突っ込んで聞いた、実際の現場でのエピソードは次回の記事で掲載予定です。

そちらもどうぞお楽しみに!



 

このブログではこれまで行った様々な伐採事例を紹介中ですので、合わせて参考にしていただけると幸いです。


北海道の特殊伐採のご用命は「TREESERVICE 空師.ngo(ツリーサービス ソラシンゴ)」までお待ちしております。


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